シリーズ「睡眠障害について」(3)不眠症はなぜ起こる

 前回みてきたように、夜の睡眠は非常に重要な意味をもつことがわかっています。それでは寝たい夜に眠れなくなるのはどうしてでしょうか?

 不眠の原因として大きく次の7つが挙げられます。
①生活習慣上の要因
(パソコンや携帯電話などのブルーライトを夜浴びたり、就寝時間がまちまちだったりするためです。またアルコールやカフェインの摂取なども影響します)

②心理的要因
(この時間に寝なくてはならない、などの心理的拘りが強いとかえって眠れないことがあります)

③合併疾患に伴う身体症状
(脳の疾患、喘息、心不全、頻尿、アレルギー性疾患など症状に伴い不眠となります)

④睡眠時に起こる疾患
(むずむず脚症候群)(足がむずむずして眠れないのをRestless leg syndrome、むずむず脚症候群というものがあります)

⑤精神疾患
(うつ病やなんらかの精神的トラウマのあと発症する心的外傷後ストレス障害などでは慢性的な不眠をきたすことがあります)

⑥概日リズム睡眠障害 = 「体内時計の不調」
(時差ぼけ、夜勤などの交代性業務に伴うもので不眠になります)

⑦薬剤性
(代表的なものは内服のステロイド剤ですが、治療に使用する薬剤によっては不眠になることもあります。)

 このうち⑥番目の概日リズム障害について説明します。概日リズムというのはcircadian rhythmともいいますが、体内時計のことです。体は、24時間の周期で体内の生理的現象が一定のリズムをもって活動しています。体内時計の調節により睡眠や交感神経、副交感神経などの自律神経のon/offを行っています。

 実際私共循環器、内科で扱う疾患である、高血圧、狭心症、気管支喘息などは体内リズムに影響を受け、症状が現れるため、一日のリズムや睡眠状態は病気のコントロールとも深い関係があります。
 
 この体内時計を調節しているのは脳の松果体(しょうかたい)というところから分泌されるメラトニンというものです。夜、暗くなるとメラトニンが増えて睡眠環境を整えることが知られています。夜パソコンや携帯のブルーライトに浴びると頭や体の中では昼間と勘違いして、眠気がなくなってしまいます。
 
 生活調整を中心に睡眠を改善したいという方は先程挙げたような生活の中での不眠となる原因を一つずつ解決し、規則正しい生活をすることが望まれます。また寝具も寝やすいものにするとよいです。私の患者さんの中でも寝具を変えて睡眠薬がいらなくなった方がいらっしゃいます。あとは認知行動療法という方法があり、下記の本がお勧めです。自分自身の睡眠を一度見直してみませんか?

参考文献: 認知行動療法で改善する「不眠症」 岡島義先生、井上雄一先生

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