睡眠時無呼吸症候群外来(いびき外来)・睡眠障害外来 常勤医師ご挨拶

当院は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の方の治療に特に力を注いでいます。

現代のストレス社会では、いくら眠ろうとしても眠れない(不眠症)や、なかなか寝付けない(入眠障害)、夜中に何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)の人達が増えています。
また、いびきを伴う睡眠時無呼吸症候群は、患者さまの生活習慣が深く関わることが多く、単に薬を服用するだけで治療できるものではありません。

当外来では、睡眠に関する様々な問題について、患者様お一人お一人の重症度や症状に応じた治療をご提案いたします。お気軽にご相談ください。

AIC八重洲クリニック 
睡眠時無呼吸症候群外来(いびき外来)・睡眠障害外来

常勤医師  手塚 大介

1.睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、眠っている間に呼吸が止まってしまう病気です。Sleep Apnea Syndromeの頭文字をとって、「SAS(サス)」とも言われます。
医学的には、10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸と診断をしています。
この病気が深刻なのは、寝ている間に生じる無呼吸が、起きているときの私たちの活動に様々なリスクを生じさせる可能性があることです。
寝ている間の無呼吸になかなか気付くことができませんので治療には至らない人を含めると日本には300万人以上の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者がいると推計されています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)はとても身近な疾患です。下記では睡眠時無呼吸症候群(SAS)について詳しくご案内いたします。

(1) いびきについて

いびきをかく人は、約7割居ると言われています。健康上、注意をしなければならないいびきは睡眠時無呼吸症候群に伴ういびきです。

①散発性のいびき

普段はいびきをかかないのに、疲れたときやお酒を飲んだときに限っていびきをかくというものです。

②習慣性のいびき

寝ているときはいつもいびきをかくという場合のものが当て嵌まりますが、寝ている間の換気量低下(呼吸量が減ること)や覚醒反応(体は眠っていても脳が起きた状態になってしまうこと)の有無によって「単純いびき」と、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)に伴ういびき」に区分されます。

(2) なぜ呼吸が止まるのか?

睡眠中に呼吸が止まってしまう原因は大きく分けて2つ(閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA))あります。

① 閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)

上気道に空気が通る十分なスペースがなくなり呼吸が止まってしまうタイプです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者さんのほとんど(9割程度)がこの閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)に該当します。
上気道のスペースが狭くなる要因は主に肥満です。肥満で上気道のスペースが圧迫されて狭くなり、呼吸がしづらい状態となっているのです。
具体的には首・喉まわりの脂肪沈着や扁桃肥大のほか、舌根(舌の付け根)沈下、口蓋垂(のどちんこ)、軟口蓋(口腔上壁後方の軟らかい部分)沈下などによる喉・上気道の狭窄が挙げられます。

また、仰向けに寝るといびきをかくが、横向きに寝るといびきをかかないという方が居られます。これは仰向けで寝た時に気道が狭くなっている証拠です。睡眠中は筋肉が弛緩します。仰向けに寝る場合は特に舌の付け根(舌根)などが上気道に落ち込みやすくなります。上気道が閉塞してくると狭い隙間を空気が通ろうとするので、「いびき」が生じやすい状態となり、それが更に進んで完全に塞がれてしまうと空気が通る隙間がなくなり、「無呼吸」になるのです。横向きや座って寝てもいびきをかくという場合には要注意です。

② 中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)

脳から呼吸指令が出なくなる呼吸中枢の異常です。睡眠時無呼吸症候群の中でもこのタイプは少数です。CSAに陥るメカニズムは様々ですが、心臓の機能が低下した方の場合には30-40%の割合で中枢型の無呼吸がみられるとされています。
肺や胸郭、呼吸筋、末梢神経には異常がないのに、呼吸指令が出ないことにより無呼吸が生じます。OSAと違い、気道には問題がありません。OSAの場合は気道が狭くなって呼吸がしにくくなるため一生懸命呼吸しようと努力しますが、CSAの場合は呼吸しようという努力事態がみられません。

(3) 居眠り運転が5倍に

睡眠時無呼吸症候群(SAS)によって生じる日中の眠気は、判断力・集中力や作業効率の低下を招きかねません。また眠気ばかりか、睡眠時無呼吸症候群(SAS)によって日中に居眠りも増加します。
「運転中の眠気」の経験割合は、非SAS患者と比較してSAS患者で4倍(40.9%)、「居眠り運転」ではなんと5倍(28.2%)という調査結果が示されています。(出所:臨床精神医学1998:27:137-147)

(4) 脳卒中の発生リスク(健常者の3.3倍)

脳卒中(脳の血管が出血(脳出血)したり、詰まったり(脳梗塞)する病変)は、日本人において癌、心臓病に次ぐ3番目の死亡原因ですが、死に至らない場合でも、後遺症として麻痺や言語障害が生じる病気ですが、この病気、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症者は発症リスクが高い(一般の人に比べて発症リスクが3.3倍)ことが報告されています(出所:New England Journal of medicine 2005)

(5) 高血圧症の発生リスク

日本高血圧学会の診療ガイドラインでは睡眠時無呼吸症候群(SAS)が二次性高血圧の原因疾患の1つに位置付けられています。
無呼吸状態から呼吸が再開するとき、身体は寝ている状態でも脳は起きた状態になります(覚醒反応)。同時に、睡眠が一時中断状態になり、交感神経が亢進することで血圧が上昇します。本来、寝ている間は副交感神経が優位ですが、閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSAS)はこうした無呼吸・呼吸再開のパターンを繰り返すために交感神経が活性化され、血圧変動が持続してしまうのです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)によって生じている高血圧の場合、適切にSASを治療すれば高血圧の改善も望めます。

また、二次性高血圧でない通常の高血圧も睡眠時無呼吸症候群(SAS)により発症リスクが上昇するという報告があります(New England Journal of medicine 2000)

(6) 糖尿病の発症リスク

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が糖尿病を誘発するメカニズムは明確には解明されていませんが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度を増すごとに、糖尿病を合併する割合が上昇していくとされています(出所:Am J Respir Crit Catr Med 2005)
原因は、「間欠的低酸素血症(低酸素状態と正常な酸素状態が交互に繰り返される現象)」と、無呼吸状態から呼吸が再開するときの「覚醒反応(脳が覚醒した状態)」が糖代謝の異常と関連すると推測されています。

(7) 心疾患の発症リスク

不整脈(注)の一種である「心房細動」は、「心房」という心臓を構成する部分が異常な電気刺激を受け、十分に収縮できない状態になる心疾患です。
夜間の心房細動の発症リスクについて、重症の睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、SASでない場合に比べて4倍以上であったという報告があります(出所:Am J Respir Crit Care Med 2006)

(注)不整脈
不整脈とは、脈が不規則になったり、異常に速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)することを指します。
心臓は電気刺激によって全身に血液を送り出すポンプの役目を果たしていますが、刺激伝達経路が何かに障害されて電気刺激が心臓全体に伝わらない、または電気刺激そのものが発生しないと、ポンプとして正常に機能しなくなり不整脈を起こします。

2.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な症状

本来、睡眠は日中活動した脳と身体を十分に休息させるためのものです。睡眠時無呼吸症候群(SAS)で睡眠中に呼吸停止が繰り返されることで、身体の中の酸素が減っていきます。すると、その酸素不足を補おうと、身体は心拍数を上げます。脳も身体も断続的に覚醒した状態になってしまいます。寝ている本人は気付いていなくても、寝ている間中、脳や身体には大きな負担がかかってしまい、もはや休息どころではありません。
その結果、強い眠気や倦怠感、集中力低下などが引き起こされ、日中の様々な活動に影響が生じてきます。

<睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、こんな症状が出現します>

(1)寝ている間

・いびきをかく
・いびきが止まり、大きな呼吸とともに再びいびきをかきはじめる
・呼吸が止まる
・呼吸が乱れる、息苦しさを感じる
・むせる
・何度も目が覚める(お手洗いに起きる)
・寝汗をかく

(2)起きたとき

・口が渇いている
・頭が痛い、ズキズキする
・熟睡感がない
・すっきり起きられない
・身体が重いと感じる

(3)起きているとき

・強い眠気がある
・だるさ、倦怠感がある
・集中力が続かない
・いつも疲労感がある

3. 睡眠時無呼吸症候群の検査(睡眠中の状態を知る方法)

問診時に起きている間の自覚症状や生活状況を詳しくお聞かせください。
昼間の眠気の自覚のほか、既往歴や体調変化、SASに特徴的ないびきの有無などの情報が診療に役立ちます。問診の結果SASの可能性が疑われる場合には、具体的な検査へと進みます。当院では簡易検査、精密検査の両方を実施することが可能です。

(1)簡易検査(多くの場合はまずこの簡易検査から行ないます)

簡易検査よりもさらに詳しく、睡眠の質と呼吸の状態を調べる検査(終夜睡眠ポリグラフ(FullPSG)検査と呼ばれます)です。
通常は1泊の入院により行いますが、当院ではご自宅で精密検査が可能です(検査は社会保険が適用されます)。

(2)精密検査(ご自宅でFullPSG検査を行えます)

簡易検査よりもさらに詳しく、睡眠と呼吸の「質」の状態を調べる検査(終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査と呼ばれます)です。通常は1泊の入院により行いますが、当院ではご自宅で精密検査が可能です(検査は社会保険が適用されます)。

主な検査項目

・呼吸、呼吸努力(胸部・腹部の換気運動)
・血中酸素飽和度(SpO2)
・脈拍数

・筋電図
・眼球運動
・脳波

・いびきの音
・体位(睡眠時の姿勢)
・体動(睡眠時の体の動き)

4. 睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック

6つの質問でSASリスクをチェックしましょう。
今何も症状がないと思っていても、将来的なリスクを知っておくことが重要です。

Q1 毎晩、大きなイビキをかきますか?
はい  いいえ
Q2 「睡眠中に呼吸が止まっていた」と指摘されたことがありますか?
はい  いいえ
Q3 昼間、眠くなることがありますか?(居眠り運転をしそうになったり、会議中にうとうとしてしまうことがよくありますか?)
はい  いいえ
Q4 朝起きたとき、寝たはずなのに疲れが残っている感じや頭重感・頭痛がありますか?
はい  いいえ
Q5 若い頃より、体重が増えて、顔つきが変わったと言われますか?
はい  いいえ
Q6 メタボリックシンドロームの傾向はありますか?
はい  いいえ

一つでも「はい」があった場合には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)専門外来の受診をお勧めします。

5. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度や原因に応じて以下の治療方法があります。

(1) CPAP治療(保険適用)

「Continuous Positive Airway Pressure」の頭文字をとって、「CPAP(シーパップ)療法:経鼻的持続陽圧呼吸療法」と呼ばれます。 閉塞性睡眠時無呼吸タイプに有効な治療方法として現在欧米や日本国内で最も普及している治療方法です。
CPAP療法の原理は、寝ている間の無呼吸を防ぐために気道に空気を送り続けて気道を開いておくことで無呼吸状態とさせないというものです。

(2)マウスピース治療

下あごを上あごよりも前方に出すように固定させることで上気道を広く保ち、いびきや無呼吸の発生を防ぐ治療方法です。マウスピースをつけて寝るだけ、と思うと手軽に思えるかも知れませんが、必ずしも全ての症例に効果的な治療方法というわけではありません。中等症までの閉塞性睡眠時無呼吸タイプに対しては比較的効果が見られやすい一方で、重症の方の場合には治療効果が不十分とされる報告もあります。
※保険診療の適用が可能かどうかは歯科医にご相談ください。

(3)外科的治療

すべての睡眠時無呼吸症候群(SAS)に有効というものではありませんが、気道を塞ぐ部位を取り除く根治療法です。
小児の多くや成人の一部で、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因がアデノイドや扁桃肥大などの場合は、摘出手術が有効な場合があります。
軟口蓋(のどちんこ)の一部を切除する手術法もありますが、治療効果が不十分であったり、数年後に手術をした部位が瘢痕化して睡眠時無呼吸症候群(SAS)が再発することが少なくありません。

上述のとおり、外科的治療は限定的ですので、睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療は長期に及びます。治療に当たって生活習慣の改善が必要になるのは言うまでもありません。

肥満気味の方の場合は首・喉まわりの脂肪が気道を狭くしている可能性がありますので、減量も治療の一環になります。
また、鼻づまりや鼻の諸症状で鼻呼吸がしにくい場合には、まず鼻症状の改善から取り組む場合もあります。

外来からのお知らせ

  • 2016.10.25

    電話受付時間変更のご案内

    毎月末の木曜日にビルの定期点検および院内のシステムメンテナンスを実施するため、
    電話受付の時間をAM10:00からとさせていただきます。
    ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
    10月実施日・・・10月27日(木)
    11月実施日・・・11月24日(木)

  • 2016.03.08

    睡眠時無呼吸外来 診療時間変更のご案内

    4月より、塩田智美の睡眠時無呼吸症候群外来(いびき外来)の診療時間が下記に変更となります。
    ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
    いびき外来・睡眠時無呼吸外来 第2、4 木曜 15:30~18:00

外来のご案内

  • 睡眠時無呼吸症候群外来(いびき外来)

    常時いびきがあり、他人から指摘されるほどの騒音…このような症状のある方は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。睡眠時無呼吸症候群は様々な重病にも繋がります。当クリニックでは患者様の重症度や症状に応じた治療をご提案いたします。

  • 睡眠障害外来

    寝つきが悪い、夜中に数回目が覚める、眠った気がしない等の改善を目指し診療しています。
    当クリニックでは、睡眠に関する様々な問題について、気軽に相談できる「睡眠障害外来」を設けておりますので、お気軽にご相談ください。


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